影の怪物との激戦から三年後―
部屋から5人が出てきた。
「これで金的は威力上昇だな。」
楓真。
「私はもっと合理的に訓練したわ。」
怜。
「僕も、苦無以外にも手裏剣とか、使えるようになりました。」
宥。
「スマホ使えたからラッキーだったぜ。ゲームのログボももらえるし」
雄心。
そして―
「…久しぶりの外の空気だ。」
柳。
全員が外に出ると、そこに比良が待っていた。
「みんなお疲れ。今日からだよ。逗人大乱。」
「!」
数時間後、全員は委員会の本殿に集まった。
「待っておった。」
そこには委員長がいた。
「お前らは怪物を殺すことが仕事だ。しかと心得よ。」
「はい!」
そこに大澤が出てくる
「皆さん久しぶりです!」
「大澤っち!久しぶりじゃん。」
雄心が言う。するとそれを見ていた比良が言った。
「逗人大乱では僕らは単独で怪物を殺して回る。だから、補佐官の君たちが、柳をちゃんと守るんだぞ。」
その瞬間、空が真っ暗になった。
「やあやあ皆さん。ごきげんよう。」
空には逗填が映し出された。
「今日から逗人大乱を始めます。今、1000体の怪物を放出しました。頑張ってくださいね。」
すると再び空が青になった。
「…」
柳が口を閉ざしていた。
「どうした?柳。」
「何かが…妙だ…」
大澤が言った。
「皆さん。こちらを。」
大澤が取り出したのは巨大な電子日本地図だった。
「炎や水ほどの膨大な力を持つ怪物はここに映し出されます。」
「なるほど。さしずめ、炎がここで水がここか…」
柳が地図を指さしながら言った。
「僕的には最初は強い怪物との接敵は避けたいね。」
比良が言うと、全員がうなずいた。
「雑魚から潰そう。」
「だな。賛成。」
すると、楓真がおもむろに手をあげた。
「あのー…僕らが訓練してる時の怪物って…」
すると比良がにっこりと笑った。
「安心して。それは僕と大澤とついでに石森で毎日倒してる。だから今いるのはピッタリ1000体。」
そこに石森が首を突っ込む。
「あ、でも、一つ気になることがあって、3年前、逗填は今日からと言っていたのに、その日の怪物が探知できていないんです。」
比良は少し真面目な顔をした。
「俊敏の前の日は一般人でも倒せるレベルだった。だからきっと、初日は一般人が斃してると思うけどね…」
大澤も続ける。
「比良の言う通りですし、探知機には1000体しか映っていません。これはどんな微弱な怪力でも探知できます。」
「か、かいりょく…?」楓真が頭を掻いた。
「怪力とは、怪物が放つ気配の事です。平安時代ごろまでは呪力と呼ばれていたそうですが、式神文化の荒廃とともに怪力へと変わっていった。って配った教科書に書いてましたよ。」
大澤の冷静なツッコミに全員が失笑した。
「は、はは。楓真、勉強はしておいた方がいい。」
比良の失笑は楓真も見たことが無く、ヤバい。と本能で理解した。
委員長が静かに言った。
「少し良いか。」
全員が向き直った。
「うむ。実は柳と他4名に通達がある。」
5人が息を呑んだ。
「1000体の怪物は柳めがけて少しずつだが集まってくる。よって、5人には寮を出てもらい、地方のシェルターに移ってもらう。」
「わかりました!」
5人がシェルターの場所へと向かうと、違和感があった。
「あれ…?委員長、一軒だけ建ってるって言ってたけど、二軒あるな。」
「でも、GPSはここだって…」
すると、宥が言った。
「こっちの家、僅かだけど怪力を感じる。この家は怪物…」
宥が言い終わる前に、窓からすさまじい速度で石が飛んできた。
「うおっ!」
楓真がギリギリで避けると叫んだ。
「こいつッ!家の形してて金的できねぇ!」
「お前は金的以外の技が出来ないのか。」
「そういう柳もかっこつけデコピンだけでしょ?」
「黙れ。この程度俺一人で十分だ。お前らは引っ込んでろ。」
「はいはい。いわれなくてもそうしますよ!お前と共闘とかまっぴらごめんだ。」
その様子を怜たちは冷ややかな目で見ていた。
「あいつら、学習しないのかしらね。」
「きっと、喧嘩するほど仲がいいんだよ。」
柳は静かに家の怪物に歩み寄ると、ドアから中に入った。
「え?」
楓真も拍子抜けした。
「入れるの?あれ。」
それから数秒後、家の怪物が揺れたかと思うと、あっという間に崩れ去った。
「終わった。シェルターはいるぞ。」
「お、おう。」
柳の圧倒的戦闘力。楓真らは3年間見ていなかった。彼自身も成長したのである。
それから数日は、シェルターによってきた怪物を倒し続ける日々が続いた。
人型をした怪物には楓真の金的で、宥や怜は柳が戦っている途中の抑えとして、雄心は後方支援ととどめを担っていた。
ある朝、不安定な2体分の怪力を感じた宥が外に出ると、驚異的な光景が広がっていた。
つづく
