第二話

楓真が最強補佐官候補として入隊して訓練を始めてから数日後、生徒らが比良によって中庭に集められた。
「みんなさ、そろそろ怪物と戦うっていうことに挑戦してみない?」
え?となった。楓真を除く3人も、訓練自体は楓真の来る3日前に始めただけである。
「比良さん?なぁに考えてるんですかねぇ?」
「怜ちゃん落ち着いて落ち着いて。僕じゃ説明へたくそだから、僕より強い同僚の大澤くんに任せまーす。」
比良の後ろから出てきたのは、眼鏡をかけた物静かな中年男性だった。
「どうも。一応比良とコンビを組んでる大澤です。ちなみに昨日までは武器の眼鏡の修理中で休んでました。」
「「「「よろしくお願いします。」」」」
四人が同時にあいさつした。
「えー、そもそも、我々逗人委員会とあなた方では、怪物発生時期は一緒だから鍛えた時期は一緒なのではと思うでしょう。実は違います。我々は、500年前に先祖が命をとして核を持ち帰った合計100体の怪物との戦闘を通して訓練しています。怪物は倒されると核となります。この核をどうこうすることで復元できるのです。」
すると、宥が出てきて言った。
「なるほど。つまり、我々は低級の物から順に怪物と戦闘し、実戦経験を鍛えると。」
「その通りです。実際、怜さんや楓真くん以外は怪物を見たことが無いはずです。そこで、一度怪物に見慣れるためにも、比良と私のタッグで怪物と戦います。それをしっかり見てください。」
「どの怪物と戦うんですか?」
後ろから楓真の声が響いた。
「いい質問です。私たちは、神速の怪物と戦います。」
「しんそくのかいぶつ?」
「はい。俊敏の怪物と似たようなものですが、格が違います。ちなみに神速の怪物の50m走記録は約0.36秒です。俊敏で3.24秒です。」
「逃げきれねぇよぉ。」
「見ててください。」
すると、闘技場へと連れて行かれた。比良と大澤が中央に降りると、神速の怪物が放たれた。
放たれた瞬間、神速の怪物は反対側の壁にいた。
「速!」
神速の怪物は二人を視認すると、瞬く間に襲い掛かった。
「ったく…おい大澤!はしゃいで死ぬなよ?」
「誰が…」
すると二人は飛び上がった。
大澤は眼鏡を取り外すと素早く組み換えてライフルを作り、銃口を怪物に向けた。
比良も飛び上がって攻撃を仕掛ける。
「「終わりだ。」」
次の瞬間には神速の怪物は倒れていた。
「すげぇ…」
大澤は楓真らのもとへ行った。
「それでは、皆さんも…」
そう言いかけたところに、委員長の遣いがやってきた。
「委員長より伝言です。今回より最強と会わせる。と。」
それを聞いて、大澤は眉間にしわを寄せた。
「確かにそれが賢明…だがなぜ今なのだ…?」
そんな大澤の顔を雄心が覗き込んだ。
「どーした?最強に会わせてくれるの?」
「あ、ああ。行くぞ。ついてこい。」
大澤と比良に案内された4人は、奥の納屋の一室の前に案内された。
すると比良が口を開いた
「実は今まで、最強と最強補佐官は逗人大乱当日までは会わせないきまりだったんだよ。」
「え?どうして?」
楓真は聞いた。
「それはね、情を沸かせないためさ。」
すると宥が言った。
「なるほど…引き合わせてしまえば互いに友情がわいて、もし死んだときに動きが鈍る…と…」
すると楓真が驚いた。
「そんなこと…最強に生まれたやつの宿命ってことかよ…」
「じゃあ、開けるよ。」
比良は部屋のドアを開けた。
中は思っていたより広々としていて、中には一人の男が座っていた。
「彼が今回の最強 柳 竜輝くん。」
怜が部屋に入った。
「柳…くん…」
怜が言うより早く雄心が割って入った。
「柳~初めまして~よろしく~!」
柳は少々驚いた雰囲気だった。が、すぐに平生を装った。
「俺は柳 竜輝。よろしく…」
すると比良が口を開いた。
「柳。4人はこれから君と一緒に訓練していくことになる。順に弱い怪物と戦わせるからよろしくね。」
「はい。雑魚くらいなら楽勝です。」
すると比良の案内で5人は訓練場に入った。
「んじゃ、まずは柳。微笑の怪物を倒してみな。」
柳が闘技場中央に行くと、そこには不気味な笑みを浮かべた怪物がいた。
怪物は柳に向かって飛びかかった。
その瞬間、怪物が消えた。
「…え?」
楓真らは呆気にとられた。
「比良さん…え?え?」
「柳くんが斃したの。デコピンで。」
目の前にいる最強に、返事が出来なかった。
「まあ、これを平均だと思ったらだめ。これで最大値。次は怜。」
「怪物は?」
「博学の怪物。まあ厄介とはいえ、計算により動きにキレがあるだけさ。」
すると、博学の怪物は怜を襲った。
怜はそれを躱すと、武器のハンマーを取り出した。
「脳髄、ぶちまけてやるよ。」
怜の鋭い眼光に、博学の怪物はひるんだ。
そのすきを、怜は見逃さなかった。
「おらぁぁぁ!」
ハンマーが振り下ろされ、怪物の頭が破壊された。
「ご、豪快…」
「次は宥。宥は戦闘スタイル僕も知らないから、いっぱい見せてほしいな。」
「この気配…痩身の怪物ですか…」
「そ。痩せまくってる分、身長高いよ。」
宥は放たれた瘦身の怪物を見ても、微動だにしない。
怪物が宥の目の前に来た。
すると宥が口を開く。
「死ぬ覚悟はありますか。」
宥は上着の裾から苦無を5本取り出した。
すると、そのうちの一本を自分の腕に突き刺した。
「ちょっと!何して…」
比良は驚きを隠せていない。
すると、宥の目が血走った。
「殺してやるよぉ!」
飛び上がると、残りの苦無を全て怪物に叩き込んだ。
それも急所に的確に。
宥が腕の苦無を抜くと、目は元に戻り、雰囲気も落ち着いた。
「へぇ~。自傷による覚醒か。面白い。」
「次は俺だろ?なんの怪物よ?」
雄心が言った。
「君は軽薄の怪物とだよ。頑張ってね。」
雄心は弓矢を取り出した。
すると、それを見た比良がストップをかけた。
「待って。その矢、妖しい力を感じる。」
「毒の怪物の血を矢じりに塗りました。」
「そういうことか。じゃあいいよ。続けて。」
雄心が撃った矢は的確に怪物の胸を射抜いた。
「毒が効くまで時間がかかる。あとは逃げるだけ。」
それから数分もせぬうちに軽薄の怪物は倒れ、絶命した。
「次は君の番だよ。楓真。」
その様子を見る柳が言った。
「お前に一番期待している。」

つづく

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