第十話

爆弾の怪物は無数の爆弾を空から降らした。
地面に着いた瞬間、すさまじい勢いで爆発する。
全員3年の訓練があったおかげで避ける術は卓越していた。
楓真は爆弾の怪物を見た。
人型ではあるが、大きすぎて金的は効かない。
楓真は何も言わず駆け出した。
「楓真!やめ…」
柳が止めようとしたが、途中で口が止まった。
「…任せたぞ!」
楓真は大きく飛び上がり、拳を振りかぶると強烈な一撃を爆弾の怪物に向けて叩き込んだ。
爆弾の怪物がよろめいた。
その隙を見て、怜が飛びかかる。
「死ねっ!」
しかし、効かない。
…というのが作戦だった。
後ろへ避けた爆弾の怪物を待っていたのは息を殺して待っていた柳だった。
「人間の怪物で醜態をさらしちまって今機嫌悪いんだよ。お前、死んで機嫌を取れ。」
柳はすさまじい猛攻で爆弾の怪物を攻め立てる。
しかし、爆弾の怪物の方もタフだ。このタフさは今までで初めて見る。
柳は攻め方を変えた。爆弾の怪物をつかむと、高速で走って川まで行った。
「爆弾って…水に弱いんだよなぁ!?」
川に沈めた。
息が持つ方だった柳は川の深くなっているところで爆弾の怪物をおさえつけている。
しばらくして、爆弾の怪物はすさまじい音を立てて爆発し、消えていった。
「柳!」
煙の中からは煤まみれの柳が出てきた。
「勝った・・・けどいってぇ…」
「んじゃ、シェルターに戻るか。」
すると、シェルターから煙が上がっているのが見えた。
「…え?」
宥はすさまじい怪力を感じた。
周りの温度が上昇したことに気づいた。
目の前の森から火が上がる。
その中から出てきたのは全身が炎に覆われた怪物だった。
「ほ、炎の怪物…!」
すると楓真が叫んだ。
「え?炎!?こういうのって大体最後に最強が出るパターンじゃないの!?」
その瞬間、炎の怪物が口を開けた。
炎の怪物の口からは膨大な炎が放出された。
全員とっさによけるが、その熱は尋常ではなかった。
「こんだけ離れてても暑いぞ!」
怜が言う。
すると、楓真は拳を振りぬいて突撃した。
「暑かろうと怪物は怪物!殺す!」
しかし、楓真の拳が炎の怪物に触れた瞬間、楓真が悲鳴を上げた。
「あっつ!!!!!!ヤバい!」
幸い軽いやけどで済んだ。だが、常人なら大やけどどころか手が燃え尽きていたかもしれない。
触れただけでその威力―
全員が現実を突きつけられていた。
柳は静かに分析していた。
「つかんで川に沈めるのは無理か…だが接触しての撃破は絶望的…」
柳はふと、ポケットからタングステンで出来たボールを取り出した。
「それっ」
柳が放り投げたボールは、炎の怪物に触れた瞬間溶けていった。
「約5000℃ってとこか…楓真凄いな」
柳は少し笑った。
誰も近づけない。炎の怪物も動かない。
絶望的な膠着が続いた。
「おい!なんかこいつ様子がおかしいぞ!」
楓真が炎の怪物を指差しながら言った。
その瞬間、炎の怪物からすさまじい炎が全方位に放たれた。
万が一に備えて楓真と柳以外は遠くにいた。
だがそれでも軽くやけどを負っていた。
一方、至近距離でこの炎を受けた楓真と柳は大やけどを負っていた。
「く…くそ…」
「まさか、ここまでとは…」
柳も楓真も体中が焦げている。
炎の怪物はよろめく楓真と柳にとどめを刺そうとした。
そこに、宥の苦無が投げ込まれる。
しかし、苦無は炎の怪物に近づいた瞬間に溶けていった。
「何で…何でだよ」
悔しがる宥に怜が声をかけた。
「今は、あそこの二人を助けに行かないと」
二人は柳らを見た。
大やけどを負ったまま、かろうじて立っている。
「…怜。行こう。」
二人は駆け出した。
「二人とも来るなっ!」
楓真が叫ぶ。
「こんなの見て黙ってられっかよ!」
怜が答える。
「うん。それに、これで終わりじゃないだろ!?」
柳はゆっくりと立ち上がり、迫る炎の怪物をにらんだ。
「去ね」
しかし止まらない。
怜は高温の炎の怪物にハンマーを振るった。
ハンマーが溶けていく。すさまじい熱波だ。
だが、これが怜の狙いだった。
溶けたハンマーを振るって一撃を浴びせた。
少しよろめく。
「こいつ、当てるのがむずいだけで当たりさえすれば攻撃が効く!」
「だが軽い一発のためにハンマーを失うんじゃぁ割に合わねえ。」
一方、大宮駅に、とある者らが現れる。
「くははっ!ここから本部に入るのだぞ水の怪物!」
そこにいたのは人間の怪物と水の怪物だった。
「水の怪物はワンと言えないからな…俺が開いた扉を維持するしかないか…まあまずは、邪魔者掃除だ。」
すると人間の怪物は駅構内に入り、手当たり次第に人々を虐殺し始めた。
「ほらほら。皆、死ねぇ!」
そしてある程度掃けたところで三回回ってワンといった。
「ほら開いたぞ!入れ水の怪物!!!!」
逗人委員会本部―
休憩中だった比良・大澤・石森は、談話室で話していた。
「俺らが斃した怪物の数に比べて、あいつらはすごいよな。」
「比良。まだ油断はするなよ。」
「ですね。」
その瞬間、外に轟音が響いた。
「何事だっ!?」
比良たちが外に出ると、雄心が倒れていた。
「雄心!これは…水の怪物!?」
「助けてください…」
雄心が言った。
「石森!雄心を抱えて後ろに!」
比良は雄心を石森に渡した。
石森は雄心を抱えて後ろに走っていく。
しかし―
「かかったな。」
雄心は手で石森の心臓を貫いた。
「雄心!?何をっ!」
「雄心?ああね。俺は人間の怪物。楓真は察しが良かったな。」
「くそ…委員会内部に怪物がいただなんて…」
人間の怪物は真っ先に本部が管理する核の格納庫へと走った。
「おい比良!あいつ核を喰う気だ!」
激戦が、始まろうとしていた…

つづく

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